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    2006

06.17

広島の昔話2

広島に伝わる昔話。
今回紹介するお話は、ちょっと和み系のお話を紹介します。

江戸時代にあった実話である、「廉塾のキツネ」
働き者の若者を助ける優しいお話の「田植え観音」

二つまとめてお楽しみください。
まずは、廉塾のキツネからどうぞ。

「廉塾のキツネ」

昔、あるところに塾を開いているとても偉い学者さんがいました。
この学者さんはたいそう評判がよく、若いお弟子さんがたくさんいて、いつも塾は賑わっていたそうです。

いつの頃からか、一匹のキツネが塾に現れるようになりました。
このキツネは講義が始まる頃になると、軒下に身を隠し、まるで学者の講義に耳を傾けているかのようにおとなしくしていたそうです。
そして一日の講義が終わる頃に、のっそりと軒下から出てきて、裏山に去って行ったそうです。

「先生の授業を聴くのは、希望に満ちた若いお弟子さんだけかと思っとったが、キツネが受講しているとは。あんな難しい講義がわかるんかいのう?」

キツネの存在を知った人は、一様にそう不思議がっていたそうですが、別に邪魔をする訳でもなく、ただそこにいるだけ。
それに評判を聞きつけた若者が、遠くからわざわざやってくるとあって、無下に追い払うことも無いだろうと、キツネの好きなようにとそっとしておいたそうです。

いつしかこの塾のマスコット的存在になったこのキツネ。
やがて年を取ってこの世を去ってしまいますが、それを知った塾生達は、
「せっかく今まで先生の講義を聴いてくれていたんだから、墓の一つでもたててやろうじゃないか」
と、山にキツネをまつる立派な墓をこしらえたそうです。
今でも、その墓は山の中でひっそりと塾の後を見守り続けていると言うことです。



「田植え観音」

昔、ある所に母親と二人暮らしの若者がいました。
若者はたいそう働き者でしたが、村人が不憫に思うほど貧しい暮らしをしていました。
あんなに働き者なのに、少しも暮らしが楽にならない。あの若者をなんとか楽にしてやれないか。
村人達は、庄屋に頼み込んで「あの若者に田畑を分けてやって欲しい」と頼み込みました。
庄屋も若者のことは知っていましたが、おいそれと良い土地を分けてやることも出来ません。
「分けてやる土地はあるにはある。が、残念なことに大変痩せている土地で、切り開くのに苦労するだろう。心苦しいが、この土地しか無いのだが」
若者は、この庄屋の申し出にたいそう喜び、早速土地を切り開くことにしました。
その場所に行ってみると、草木は生え放題、石も転がっていてとても農地とは呼べそうにない有様でした。
それでも若者は、少しでも母親を楽にさせてやろうと田んぼとして切り開くことにしました。

村人は「他の作物を植えてはどうか。これでは稲も実入りが少なかろう」と心配してくれましたが、
若者は「なんとかしてみます」と来る日も来る日も田んぼとして使えるように野良仕事に精を出したそうです。
最初は母親も手伝っていましたが、過労がたたり母親が寝込んでしまいました。
母親の介護をしながら、野良仕事に精を出す若者でしたが、せっかく作った田に、稲を植えることが出来そうにありません。
稲を植えるには決まった時期に植えなければなりません。
しかし、母の介護に追われてしまい、それどころではなくなっていました。
「なんとかならんものかなあ」
せっかく稲を植える所まできながら、稲を植える暇すらない。
村人もなんとかできないものかと思いましたが、時間はありません。

そんなある日、若者に村人が知らせにきました。
「おい、お前の田んぼが大変なことになっとるぞ!」
慌てて田んぼに行ってみると、若者はびっくり仰天してしまいました。
昨日まで何も無かった田んぼに、いつの間にか稲が植わっているではありませんか。
はて、誰が植えたのだろう?と皆不思議に思いました。
よくよく見てみると、田んぼから足跡が続いています。
この足跡をたどってみると、お堂に続いていました。
このお堂には観音様がまつられています。
お堂の扉を開けてみると、なんと泥だらけになった観音様がいるではありませんか。

「なんとまあ、観音様が不憫に思い、田植えを手伝ってくださったのか、ありがたいことじゃ」
と、信心深くお参りしました。

さて、季節は流れて収穫の時を迎えました。
痩せた土地に植わった稲はすくすく育ち、不思議なことにたわわに実らせました。
思いもしなかった大収穫に若者は大いに喜び、六分を観音様にお供えし、残りの四分を自分の取り分にして観音様に感謝を示しました。
以来、この田んぼでは不思議と収穫がよく、若者は母親に楽をさせることが出来たと言うことです。

それからと言うもの、この観音様は「田植え観音」と呼ばれるようになり、村人から厚い信仰を集めたと伝えられています。
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