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    2006

06.16

広島の昔話

広島に伝わる昔話を紹介していきます。
今回は、一風変わったお話。
「月と太陽になった姉妹」
悲しくも、美しい姉妹愛のお話です。
月と太陽になった姉妹

それはまだ、世の中が暗かった時のことです。
あるところに、3人の姉妹が住んでいました。
一人はまだあかんぼうだったので、母親が出かける時に、姉妹に言い聞かせました。
「ええか、誰が来ても、決して扉を開けるでないぞ。怖い鬼がおるからな」

母親が出かけた後、姉妹は言いつけを守って、扉を固く閉ざしました。
暫くして、ドンドンと扉を叩く音がします。
「あなたはだれ?」姉が尋ねると、扉を叩いた主は言いました。
「おまえたちの母だよ。さあ。かわいい娘、ここを開けておくれ」
そこで姉は尋ねました。
「お母さんなら、そこのカギ穴から証拠を見せておくれ。」
そこで、扉の主はカギ穴から指を差し込み、こう言いました。
「さあ、開けておくれ」
しかし、姉は「お母さんは、こんな毛むくじゃらな指はしていないよ。おまえはお母さんじゃない」
そこで、主は一計を案じ、ねぎを指にかぶせてこう言いました。
「ほうら、このすべすべした指はお母さんの指だろう?」
さわってみると、確かにすべすべしています。
妹は「お母さんが帰ってきた、お母さんだ」と喜びましたが、姉は腑に落ちないようでした。
主はさらに続けて言いました。
「赤ちゃんを渡しておくれ。乳が恋しかろう」
妹が赤子を差し出すと、扉の向うで「ゴリ、パキ」と何かが砕ける音がしました。
これはおかしい、と姉妹が思ったとき、扉が開きました。

それは見るも恐ろしい鬼だったのです。
姉妹は一目散に逃げ出しましたが、鬼はどんどん追いかけてきます。
「天の神様、天の神様、お願いじゃ。鬼から私ら姉妹を助けてください」
姉妹は逃げながら一生懸命神様にお願いしました。
すると、天から鎖が降りててきました。
姉妹が鎖に掴まると、ぐんぐん天に向かって上がっていきます。
「このまま暗いままじゃと、うちらみたいなのがまたでてくる。二人で世を照らす明かりになろうや」
姉がそういい、さらにこう続けました。
「昼の明るい世界は、寂しくないようにあんたがやりんさい。うちは暗くても平気じゃけ、夜を照らす月になろう」
こうして、世界に昼と夜ができました。
この姉妹は、今でも妹が太陽、姉が月として、この世の中を照らし続けているということです。




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広島の民話・昔話
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comments

あぁ、じんわりと心のどこかに何か暖かいモノが流れてくるような昔話ですね。
姉の最後の一言が姉を姉たるものにしているところが、共感できるからかなぁ…?

くろねこ:2006/06/16(金) 19:13:59 | URL | [編集]

このお話、ちらっと聞いたことありますけど、広島の昔話だったんですね!いいお話ですけど、「ゴリ、パキ」っていうのが怖すぎます!!(>_<)赤ちゃんがぁ~(´Д`)

のん:2006/06/16(金) 21:49:14 | URL | [編集]

ちょっとだけ解説を加えておきます。
広島に伝わってる昔話は300~500くらいだと言われてます。
これらは昭和30年代~現在にかけて、収集可能だったものを統計した数字だそうです。
実際にはこれよりもっと少ない数しか、語られていないはずです。
(逆に言えば、時代をさかのぼればもっと多くの話が伝わっていたはずですが)
収集された話の多くは芸北(広島県北部)に伝わっているお話です。
このお話も芸北に伝わってるお話の一つ。
これに似たお話は、実は他では聞いたことが無いのですが。
もしかしたら、いろんな話が混ざって出来たものかもしれません。

◎くろねこさま
コメントありがとうございます。
この話、まじめに検証すると色々興味深いお話なんですが、私の足りない脳みそでは分析しきれていません(笑)
ちなみに議論が始まると、恐らく止まらなくなるので遠慮しておきますが(ぉ
気に入ってもらえたのなら幸いです。

◎のんさま
わー。コメントありがとうございます。
ハートフルストーリーだけ集めても良いのですが、(実際それだけでもかなりの量になるはずですが)いろいろな側面があるからこそ昔話、というわけで今回はこんなお話を紹介しました。
あの表現は、「扉の向こうから妙な音がして」とかに置き換えた方が良かったかもしれません。
原文では「何かをすりつぶし、砕く音がして」となってます。
どっちもどっちだと思ったのですが…。
ああ、ホラーな話にしたい訳ではないので、次回はハートフルストーリーを紹介しようと思ってますが(汗

お話が気に入っていただけたのなら幸いですよ。

ぱのじ:2006/06/17(土) 01:52:43 | URL | [編集]

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